経営者には、経営者としての「勘」があるというのは、事実です。
それは、多くの経験に基づき、瞬時に結論を判断するものだと、私は考えています。
クリティカルな場面を多く経験してきたことで、筋道を追って、結論に到達するわけでなく、瞬時に結論に到達することがあります。
どうして、その結論に到達したのかをうまく説明できないこともありますが、結論に対する確信は揺らぎません。
そういうものを経営者の「勘」と呼ぶのだと思います。
むろん、経営者だけでなく、様々な「勘」が存在しますが、基本的に同じ構造のはずだと思っています。
だからこそ、「勘」を磨くためには、ひとつひとつの経験から、できるだけ多くのフィードバックを得ることが大切です。
予定したものと何が相違し、何が一致したのか。
この場合、
「なぜ相違したのか」
と同じく、
「なぜ一致したのか」
を考えなくてはなりません。
それを「検証」と呼びますが、
「検証」のためには、「仮定」が必要です。
「仮定」なくして、相違は生じないからです。
相違が生じなければ、「検証」することはできません。
そして、
経験から得られるフィードバックは僅かなものに留まるのです。
経営者は、考えることを免れません。
資金を人材をどのように使い収益化するのかについて、
考え、経験し、また考える。
書籍を読むのも、セミナーなどで他人の話を聴くのも、
適切な「仮定」を置くための情報収集であり、
的確な「検証」を行うための材料集めなのです。
経営者として、成長を求めるならば、
「仮定」を「検証」することで、経験から最大のフィードバックを得ることを重ねていくしかありません。
そうした不断の努力が、瞬時の判断が的確になされる経営者としての「勘」を磨くのです。