放課後等デイサービスという事業は、認可を受け公費を使って行う事業です。
開業のための自治体の認可のハードルは決して高くありませんが、それは事業者が負うべき責任が小さいことを意味するわけではありません。
放課後等デイサービスを開業するためには、まず施設として利用するスペースの確保が必要です。
とくに定めはありませんが、サービスを提供する施設として、どのような空間を提供するかということひとつにも、考え方が表れます。
広さの基準などを設けている自治体もありますが、私の知る限り、とくに“厳しい”と思われるような基準が設定されているわけではなく、妥当というよりもう少し緩い基準でしかありません。
わざわざそのような基準が示されるということは、そういった緩いはずの基準をも充足しない事業者が認可申請をしていることを表しているのかもしれません。
しかし、支援する子どもたちのことを考えれば、十分な広さだけでなく、心地よく安全な空間でなければならないはずです。
施設の中の安全もさることながら、外に出た時にすぐに車と交錯するような状況は避けたいところです。
予想しない災害発生時にも安全に避難できない施設で、障害のある子どもたちを預かるわけにはいきません。
中にはマンションの高層階の一室で開業されている例もあるようですが、避難をどのように行うのかを具体的に検討されたのでしょうか。
そもそも障害のある子の中には、エレベーターの狭い空間で他の居住者と一緒になることが苦手な子どももいます。
私たちが相対するのは、あくまで障害のある子どもたちです。
一人一人の状況が大きく異なる子どもたちを預かり、療育を施すことが私たちの放課後等デイサービス(児童デイサービス)という事業です。
どのような施設で放課後等デイサービスという事業を開業し、サービスを提供するのかということは、事業に対する根本的な考え方を投影するものなのです。